旬の食材

如月(二月)

とらふぐ

ふぐは、縄文時代の貝塚からも多く発掘されていて、日本でも古くから食べられていました。昔はふぐ中毒で亡くなる人が多く、豊臣秀吉によって「ふぐ食禁止の令」が発布されたり、江戸時代も多くの藩が武士のふぐ食を禁じたりしましたが、ふぐ料理は魚の食文化が発達していく過程で着実に根付いていきました。

ふぐ料理は、ふく料理と呼ばれることがあります。「ふぐ」は、「不遇」「不具」を連想させ、縁起が悪いので、「福」につながり縁起がよい「ふく」と呼んだという説や、ふぐは布に巻いて一晩寝かせた後に調理したので、「布久」の当て字としたとする説などがあります。また、関西では「当たれば死ぬ」ことから「テッポウ」(鉄砲)と呼び、ふぐ鍋を「テッチリ」(テッポウちり鍋の略)、刺身を「テッサ」(テッポウ刺しの略)と呼んだりします。

ふぐの旬は、11月~2月で「秋の彼岸から春の彼岸まで」と言われ、冬が最も美味しい時期になります。中でも産卵を控えた2月は、特に白子も充実していて、おいしい時期とされています。

ふぐの肉は、脂質の少ない白身魚のなかでも特に脂質が少なく繊維質であることが特徴です。普通のお刺身の厚さに切ってしまうと噛み切れないほど弾力が強いため、〆てから布を被せて丸1日から2日程度寝かせ、アミノ酸やイノシン酸が増加して旨味が増して熟成されてから調理します。

ふぐ刺しは、ふぐ引き包丁という特殊な包丁で薄く引いて、向こうが透けて見えるほどの「薄作り」にし、鶴盛り、菊盛り、孔雀盛り、牡丹盛りなど、見た目にも楽しんでいただけるように盛り付けます。

ふぐ鍋は、季節の野菜と一緒に、モチモチ・プリプリとしたふぐの身の弾力感と旨みを存分に味わえる寒い季節に心も体も温まるお料理で、お鍋のあとのふぐ雑炊も絶品です。

そのほか、白子焼き、白子揚げ、白子豆腐などの白子料理や、ふぐの唐揚げ、フグの皮を野菜と煮込んで冷やした煮凝り、ひれ酒や骨酒などのふぐ酒など、どれもふぐという食材の特徴を十分に生かしたお料理にしてご提供しております。

 

松葉ガニ

ズワイガニは地方ごとに呼び名が変わりますが、京都北部、兵庫北部、鳥取の山陰地方で水揚げされた成長したオスのことを松葉ガニと呼びます。

なぜ、松葉ガニと呼ばれるようになったのかについては、細長い脚の形が松葉をイメージさせるから、漁師が調理の燃料に松葉を使ったから、刺身を冷水につけると身が広がって松葉のようになるから、など諸説あるようです。

カニは、生息する場所の環境によって味わいが大きく変わりますが、松葉ガニが育つ山陰沖は、九州側から流れ込む暖流と北海道側から流れ込む寒流が交わることで海水に酸素が豊富に含まれ、プランクトンがとても多く生息しています。

たくさんのプランクトンを食べて、荒波に揉まれて育った松葉ガニは、身の締りがよく、旨味が凝縮された極上の味わいとなります。

また、漁期を11月~3月に限定している事も、美味しい餌を食べて成長するための期間を与えることになり、より濃厚な味を作り出すのに一役買っています。

松葉ガニの水揚げ漁港としては、京都の間人(たいざ)、浅茂川、兵庫県の香住、津居山、柴山、浜坂、鳥取の境港、網代などが有名で、これらの港で水揚げされた松葉ガニは、品質維持のために漁港ごとの識別用タグが付けられます。

この識別用のタグによって、どこで水揚げされたものかが判別できるようになっています。また、同じ漁港で水揚げされたものでも品質が劣るものは識別用タグをつけることが許されないなど、厳しい品質管理が行われています。

このように、松葉ガニは、よい漁場と高い品質意識から生まれ、「カニの中で一番美味しい」という人も多いブランド蟹となっています。

当店では、その中でも特に京都の間人、兵庫の香住、津居山で水揚げされたものを厳選して使用しております。