旬の食材

神無月(十月)

松茸・天然きのこ

秋の味覚の代表格ともいえる松茸は、マツタケオールによる独特の強い香りを持ち、食用キノコの最高級品に位置付けられています。

松茸は、通常のキノコのように地表に顔を出して傘が開ききってしまうと香りも味も落ちてしまうため、地表からわずか1~2cm程度顔を出したところを見極め、根本から押し上げるようにして収穫します。

傘が地上に見えないこともあり、松茸をやみくもに探しても採取できない理由はこの点にあります。

昔は日本でも多く取れ、庶民の秋の味覚として親しまれた松茸ですが、最近は収穫量が激減して、高価な食材の代表格となっています。

京都の松茸も戦前には年間1,200トン以上の収穫がありましたが、最近では5トン程度にまで激減しています。

松の枝葉が燃料として利用されなくなって、放置された松林に雑木・雑草が生い茂り、乾燥したやせ地を好む松茸が発生しにくい里山が増えてしまったことや、松くい虫によって大量に松が枯れてしまったことが大きな原因といわれています。

栽培技術の発達した今日でも松茸の人工栽培法は発見されていないため、里山の手入れをして松茸が育ちやすい環境を整えておくことが大切になっています。

「匂い松茸、味しめじ」と言われるほどの香りと、加熱によって旨み成分が増えることを生かして、土瓶蒸しや松茸ご飯、焼き松茸やお吸い物がおすすめです。

松茸は成長に伴って若い時期のものから順に、「ころ」~「椀」~「開き」と呼ばれています。

頭の小さい「ころ」は歯ごたえがいいので土瓶蒸し、豪快な焼き松茸には「中開き」、松茸ご飯には「開き」と状態によってさまざまに楽しめます。

シャキシャキとした独特の歯ごたえと共に豊かな京都の秋の香りをご堪能ください。

 

鱧(はも)

鱧は、沿岸部に生息する大型の肉食魚で、京料理には欠かせない食材です。

“ハモ”という名前の由来には、「食む」(はむ)に由来するという説、「歯持ち」に由来するという説、中国語の「海鰻」(ハイマン)に由来するという説、マムシに似ているところから、「蝮」(ハミ)に由来するという説、食感が「はもはも」しているからとする説など、諸説あるようです。

京都では生活に密着した季節の食材で、特に暑い季節に長いものを食べると精力がつくとして、祇園祭が行われる夏の味覚の代表としてよく食べられています。

鱧をよく食べる文化が京都に広まった理由としては、鱧は生命力が強いので、輸送技術の発達していなかった時代でも大阪湾や明石海峡で採れた鱧を内陸の京都まで生きたまま運ぶことができた、ということが大きいといわれています。

鱧は長くて硬い小骨が多いため、腹側から開いて身の下にある皮を切らないように細かい切り込みを入れて小骨を切る「骨切り」という下処理が必要です。

この骨切りは、味や食感が落ちないように身を潰さずに切る熟練の技が必要で、京料理の板前の腕の見せ所であり、「鱧の骨切り 手並みのほどを見届けん」という句があるほどです。

「一寸(約3cm)につき26筋」包丁の刃を入れられるようになれば一人前といわれています。

また、骨切りをした鱧を熱湯に通して白い花のように開かせたものを「湯引き鱧」または「牡丹鱧」といい、梅肉や辛子酢味噌を添えてそのままいただいたり、お吸い物、土瓶蒸し、鱧寿司、天ぷら、鱧の蒲焼や唐揚げなど、さまざまな料理に用います。